yamachi'sプロダクトよもやま

プロダクトマネジメントについて書いたり書かなかったり @yamapiya_

新しいプロダクトをつくること

個人開発の延長で、信頼のおける同僚とプロダクトづくりを始めた。

自分が何かを始めるときは、これを作りたいというアイデアと、この人と共にやりたいという仲間が揃ったときが多い。アイデアと仲間のどちらかが欠けていると、私は何かを始めることができないのだと自認している。

事業づくりとプロダクトづくりは共通点が多い。これが事業成長とプロダクト成長という言葉に変わると、大きく変わると思っている。(本業ではプロダクトマネージャーとしてグロース系の業務を担うことが多いのだが、ビジネス色の強い顔色の組織にいると、事業成長のための手段としてプロダクトを操作している感覚に陥る)

私個人としてはプロダクトを主語にした事業成長が好きだ。Microsoftのteamsの方がビジネス的に成功しているのかもしれないが、私はslackを愛している。

toC製品の立ち上げ期は、プロダクトすなわち事業の根幹となる場合が多い。だからこそ個人開発的にプロダクトを作ろうとする営みを続けてしまうのだろう。

アウトカム志向のお買い物

Standard ProductsというDAISOの運営企業が展開する小洒落たブランドラインの店がある。 私は恋人からクリスマスの食事のため、その店でワイングラス調達を依頼された。

そのときのミッションは「Standard Productsで販売されている500円の赤ワイン用グラス(ブルゴーニュ型)を2個調達してほしい」という内容だった。(なお対象商品が人気で品薄と知らなかった私はこの後3店舗ほど同店を巡ることになる)

結局3店舗目でも商品は見つからず、店頭在庫はボルドー深型というタイプ。これは800mlのペットボトルとほぼ同サイズで実用性がいまいちと感じ、写真を送ると共に意見を仰ぐことにした。

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恋人からは「ボルドー深型を2つ購入してほしい」というメッセージがきて、それは私の直感とは反する内容だった。

この状況はクライアントワークの仕事に置き換えて考えると大変分かりやすい。

顧客の依頼

  • 要件:ボルドー深型を2つ購入してほしい
  • 期待:ディナーで利用する赤ワイングラスを調達したい。できれば長く使いたい。

上記の整理になり、期待の「できれば長く使いたい」というニーズは言語化されていない要望である。

このとき、要件に対して直球で応えていけば私にとって何の責任もない。仮に期待に沿わない結果をもたらしたとしても、依頼主たる恋人の責任となるからだ。

一方、要件は満たしても期待に応えられない場合に失われるのはディナーの雰囲気である。表には出さないが少なからず落ち込んだ気持ちを抱えた恋人と過ごすクリスマスは居心地が悪いだろう。

そこで私は要件を無視して期待に応えることを優先することにした。具体的には「 ボルドー深型を2つ購入してほしい」という要望に対して「時間があるから別のお店も見て回ってみるね」とStandard Products以外での購入という別の解決方法を探しにいったのである。

クライアントワークでも依頼主の与件には極力応えつつ、言外の要求を汲み取り提案に反映させることがある。今回のふるまいはそれに該当する。

その後4店舗ほど立ち寄ったのだが、恋人が要望した形のグラスにぴったりなものはどれも予算を大きくオーバーしている。

どうしたものかと悩んでいたとき料理道具の専門店を見つける。

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ここにあったグラスは要望された形とは若干異なるものの、ユースケースや品質を考えると申し分なく、予算オーバーだが許容水準だと判断した。

しかし、この細かいニュアンスを伝え予算を上回る買い物の許可をスムーズに得られるだろうか。彼女は仕事中でもあるし、写真だけで上手く伝えられるかは不確実だ。もし交渉に失敗したときディナーの雰囲気はどうなるのだろうか。

ここで私は発注者と受託者という関係性を変えることにした。つまり恋人がお金を出し要望に従って私が購入するという構図を変えるのだ。

私が良いと直感した商品は当初の要件と異なるため、彼女には「良いものを見つけた。これは僕からのクリスマスプレゼント」とだけ伝えて、商品の見た目や金額は伏せることにしたのだ。

こうすることで万が一商品が期待に沿わなかったとしても損をするのは私だけになり、期待に沿っていれば嬉しさは倍増する。

クライアントワークに準えると提案費を請負側で持ち出し、攻めた提案を持っていくときと同じである。

結果的にこの作戦は成功して、恋人の笑顔とともに良い雰囲気のディナーを迎えることができた。

仕事で期待を上回ってくる代理店やプロフェッショナルの思考回路を、 日常の1シーンからメタ的に感じとれたクリスマスであった。

仕事の時速

働く中で仕事の進み具合を意識する場面は多い。それは全体に対する進捗率だけでなく、個人的な仕事への乗り具合もそうだろう。

乗っている感覚があると仕事も順調に感じられ、手元の仕事に時速が出ている感覚を覚える。では人はどのようなときに乗っている感覚を感じられるのだろうか?

私見では2つの条件下で時速が出やすいと感じている

  • 生み出すべきoutputが明瞭である
  • 個人で完結できる

 

outputの明瞭さ

これは仕事の抽象度の話につながる。作業系タスクほど速度が出やすく、企画系タスクは出づらくなる。両者の性質の違いを乱暴に書くと、決められたことをやるのが前者で、やるべきことを決めるのが後者である。前者の方がoutputが明瞭なのである。

 

企画系タスクで速度を出す

もちろん企画系タスクで速度を出すことも可能だろう。先に何をoutputとすべきかを定義し、次に要件に沿ったoutputを作ればよい。要は手続きが1つ増えただけと捉えられる。

何をoutputすべきかという部分は経験とセンスどちらも問われる部分であり、思考過程も残しておくと養われやすい。

Working Out Loudというやり方を取り入れる新社会人を見て、筋の良いスタンスだと感じた。

https://blog.studysapuri.jp/entry/2024/12/17/working-out-loud-for-new-joiners

 

個人で完結しづらい企画タスク

企画タスクの難しさはここにある。先ほど1つ増えただけと表現した手続きだが、実はなかなかに厄介で個人で完結できない可能性が高い。

outputの要件に問題ないか確認したり、その合意が取れるまで仕事を動かせない状況が生まれる。これが仕事の速度を遅らせてしまうのだ。

 

まとめると、仕事は要件が具体化されており個人で完遂できる状態になっていると時速が出る。そこの状態まで最速で持っていくことが、仕事の時速を上げるコツだろう。

 

「構造」について考える

弊社はビジネス志向の強い組織であり、プロダクト作りにおいても売上や利益を生み出すために何すべきかという会話がされる。その中で「構造」という単語が頻出することに気がついた。私たちの戦う市場構造、競合に模倣されづらいサービス構造、競争力を生む組織構造 etc..

構造なる単語は響きがかっこいいので私もよく使うのだが、改めて「構造」とは何かを考えてみた。

結論から書くと、構造と呼ばれる概念を「複数の要素が機能的に結び付いてて、壊れにくい/変化しにくい状態」と整理した。

下記の3要件を満たしていれば、構造と呼んでも差し支えないだろう。

  • 複数の要素で構成される
  • 要素が機能的に結びついている
  • 壊れにくい/変化しにくい状態がある

この整理は、社会学における構造と機能の定義*1を参考にしている。

ここまで整理して、なるほど構造を作れば競合が参入しづらく長期的に売上の上がりやすい状態が作りやすそうだなと得心がいく。

 

構造という概念は、プロダクト作りでも注意を向けて損はないと思う。プロダクトマネージャーが直面する問いに「何に機能を作るべきか」「この機能はユーザーに受け入れられるか」などがある。その問いに答えるために一定作ってみないとわからない状況にしばしば直面し、「MVP 検証」をするケースも多い。MVP 検証とは Minimum Viable Product (ユーザーに対して必要最低限の価値を提供するプロダクト)を作って、ユーザーの反応を見る検証アプローチを指す。

このとき先ほど定義した「構造」という考え方が役に立つと考えている。MVPは作り方を間違えると価値の検証に失敗するのだが、そのあるあるな失敗がイラストに描かれている。

Making sense of MVP (Minimum Viable Product) *2

ユーザーへの提供価値が構造的な考え方(複数の要素が機能的に結び付いて、壊れにくい/変化しにくい状態)で実現している場合、単一の要素だけを切り出してしまうとそれは検証にならない。部品の組み合わせで成り立つ新商品なのに、部品だけをユーザーに見てもらっている状態と言える。もちろん部品を個別で評価する目的で行うには問題ないが、それのみで新商品全体の価値検証にはなり得ない。

MVPを作るのであれば、提供価値の「構造」を保った状態で粗く作るのが望ましい。構造を保って粗いものを作るのは大変難しく、ウンウンと頭を捻る工程だと思っている。この工程がお茶の子さいさいで進むならば、それは「部分の検証になっていないか?」と問い直すべきなのだろう。

*1:東京学芸大学「家族と社会」授業レジュメ10/11/29(mo.)より引用. 原著:Calhoun, Craig, Light, Donald, Keller, Suzanne 1996 Sociology (Seventh Edition), McGraw-Hill, Inc.

*2:

Making sense of MVP (Minimum Viable Product) - and why I prefer Earliest Testable/Usable/Lovable - Crisp's Blog

言外の体験価値

プロダクト体験と向き合うとき言外の価値にも注意を払う必要がある。自社プロダクトの利用データやインタビューからは汲み取りづらい情報があると思っている。

一人が複数のサービスを併用する市場において、それは利用頻度に差が繋がりシェアの差に繋がる。私の場合、blogやSNSでそれを強く感じ取っている。例えば何かを「書く」とき、bolgならnoteよりはてなblogを優先して利用するし、SNSならXよりもThreadsを優先して使うことが多い。どちらも書き心地(行間やカーニングに現れる)が自分にとって好みだからだ。ただしそれは「書く」シーンの話であり、「情報を得る」という文脈においては、私の中でどちらも利用頻度が逆転する。

このような体験は言語化されることが少ないし、言語化を求めてもハードルが高い場合が多い。また利用データからも分析するには骨が折れる場合が多いと思う。

重要なことはそのような体験の差異を感じ取って意図的にデザインすることだ。意図して設計していれば、それを観測するためのデータも事前準備ができる。

売上利益に直接的に関わる改善や不満解消にばかり目を向けていると、見落としがちな視点だと思う。pdmとしては言外の体験価値も頭に入れて舵取りをしたい。

pdmはバランサー

usagimaru氏のエントリーを読んでpdmの役割を考えさせられた。同氏はデザイナーとエンジニアの両方の職能を備えており、1人で2つの役割をこなす。その際、デザイナー人格で理想を追求しながらエンジニア人格で実現性を担保するよう脳内で戦わせているという。

ユーザー体験の追求と実装コストは相反する場合が多く、資源が有限である以上どちらかを譲る判断が必要になる。それは職種間の対立構造として表出する場合がある。同氏は個人でそれを行なっているレアケースだろう。

pdmは意思決定者としてこの対立に決着を付ける役割がある。どこまでコストをかけて体験を追求すべきか、という点に。その判断を的確に行うには機能のWHYを的確にとらまえており、各職種の仕事を理解した上で、ロードマップや事業状況、その他開発アイテムの優先度を頭に入れておく必要がある。

これらの対立は白黒が明確に付くものは少なく、ちょうど良い塩梅の落とし所を見つけて意思決定することが多い。意思決定にあたって誰かが大きく譲ることになる場合、その人に対する感情的配慮もいる。貸し借りの考え方をもって、次回以降のプロジェクトでその人の立場を優先することもある。

このような形でプロフェッショナルの仕事、事業状況、人間関係などさまざまな要素のバランサーとして立ち回る。これがpdmは求められる職能の一側面だろう。ディレクターやプロデューサーの持つ役割と似通った性質だ。

説明能力は資源獲得の武器である

大人になるといろんな場面で説明を求められる。

就活では自分自身の説明を求められ、営業職ならば見積もりの説明を求められる。リーダーになればプロジェクトの背景や目的について、上場企業経営者になれば市場や業績の見通しまで説明が求められるだろう。

これらは一歩引いてみると、説明行動は何かしらの資源獲得を目的としている場合が多い。例に挙げたシーンだと以下のような具合だろう。

  • 就活:自分という人材について給与に見合うだけの素質を示し、採用(= 投資)を得るための説明
  • 見積もり:コストロジックが妥当であることを伝えて、 発注(=資金)を得るための説明
  • プロジェクト背景・目的:関わるメンバーが協力に値するプロジェクトであると理解してもらい、コミットメントを得るための説明
  • 市場や業績の見通し:上場企業が資本市場(投資家)から投資を得るための説明

説明は論理的であるべきとよく語られる。多くの場合それは真であるが、目的である資源獲得が果たせるのならば、必ずしも論理的である必要はないと思っている。

極論、採用面接で「どうしてその山を登ったの?」という質問に「そこに山があるから」と回答してもよいと思っている。最終的に相手が納得し採用という結果が得られれば、そこに論理は必要ない。論理的であっても面接官が納得できない論理だったらば、かえってリスクになる。

結局のところ、説明能力は投資獲得の手段なのだ。説明において論理性は一定重視されるが、不要な場面も存在する。

説明は相手から納得感を引き出すことが重要で、それこそが投資の引き金だと考えている。

 

 

 

男子、三日会わざれば刮目して見よ

別の部署に所属する新卒メンバーと仕事をすることが稀にある。四半期に一度のプロジェクトでそのメンバーへ仕事を依頼するのだが、驚いた経験があった。

そのメンバーに初めて依頼したとき、彼からはいかにも面倒なボールが回ってきた感が漂っていて「これは大変だな」と感じた。しかし四半期ぶりに改めて依頼をしたら「では私の方で会議召集しておきますね!」と自主的に動きボールを持って動かしてくれるではないか。男子、三日会わざれば刮目して見よというが、まさに目を見張る変化を感じた瞬間だった。

この四半期で所属部署の中でどんな経験をして、どんな心境の変化があったのだろうか。仕事へのスタンスや向き合い方はなかなか変えづらいもので、新卒の会社で大きく定まる部分があるともいうが、大変興味を惹かれる変化であった。

映画監督とプロマネ

ジャンプ+連載中の『クニゲイ~大國大学藝術学部映画学科~』という作品が面白い。凡人学生が天才同級生との差に苦悩しながら映画監督を目指す話だ。

主人公の姿からPMとしても学ぶことが多い。

  • 表現(型)に振り回されて本質を見失わなってしまうしくじり
  • 良い作品作りのため大量のインプットと分類をするスタディー
  • 作品の実現に向けてスタッフの協力を取り付けていくリーダーシップ
  • 良き表現物を追求するための強いコミュニケーション

上記は物語に登場する一部だが、他にも記憶に残るシーンが多くあった。

映画監督もPMも表現物(あるいはプロダクト)に責任を持ち、良い品質を追求する義務がある。どちらも多様な職種のプロを動かし、技術の結集したアウトプットに仕立てる仕事だ。

圧倒的な熱量や執着とも言えるこだわりから高い品質のプロダクトを生み出す物語に、自分も仕事へ真摯に向き合わねばな、と襟を正されたのであった。

プロダクトマネージャーとしてやっていること

教育アプリのPdMとして、こんなようなことをやっている。

  • 担当プロダクトの全体像から細部まで全体的な責任を負うこと
  • プロダクトの成功を定義し、ビジョンと戦略を描くこと。それらに基づいて意思決定を行い、説明責任を担うこと
  • 自社の収支フォルムを把握し、担当プロダクトへの投資が資本的支出と事業経費のどちらに該当するかを判別しながら、適切な投資計画を組み立てること
  • ビジネス / デザイン/ エンジニアリング / マーケティングなど各領域の要点を抑えた施策原案を手配すること
  • プロダクトが備えるべき機能を考え、もたらすアウトカムを推計し、実装に向けてチームを組成して牽引すること。エンジニア、デザイナー、マーケター、営業、法務、役員など適切なメンバーを巻き込み、適任者がいない役割がある場合は自らが代役を務めてプロジェクトを進めること
  • プロジェクトの直接的な人事権限は持たない状態でも、適切な方法でメンバーを巻き込み、必要に応じて組織からリソースを得る交渉をすること
  • 新機能開発のブリーフィングで、起案背景、目的、機能概要と情報設計(ワイヤーフレーム)を含めた原案を手配し、デザイナーやエンジニアに説明を行うこと。同時に意見を吸い上げ、原案のリファインメントを行うこと
  • 機能実装が予想よりも難しいことが判明した場合、要求や初期スコープ、リリースタイミングの見直しを主導すること
  • 新機能の導入後評価に向けて、適切な評価を行うための事前設計と事後分析を行うこと。アウトカムの予実を評価し、Q毎に適切な投資だったかを振り返ること
  • 挑戦的なコンセプトのもとで非連続な開発プロジェクトを進めること。プロダクト体験の全体像を描き、各機能の果たすべき新たな役割(Objective)を定義すること
  • 小さな実験を高速回転させる仕組みをチームに装着し、ボトムアップな手続きを取り入れること
  • ベンダーの協力を得ながらプロジェクトを進めること。その際、適切な発注とQCDコントロールを行うこと。関係構築に配慮し、良いアサインメントやプロジェクトへのコミットメントを引き出すこと

今はPeople Managerの役割は担っていないので、その役割が増えると今後できること(やること)は増えていくと思われる。

インプットの効率

何かを学ぶときに学習効率という考え方がある。インプットに対する吸収率を指して学習効率という概念があるという理解をしている。

この学習効率は同じ人間の中でも時期やマインドセットで大きく変わることが面白い。

緊急性が伴って切迫度の高い物事へ直面している時、この学習効率は最大化される。そしてそれはアウトプットの機会が伴う場合が多いと捉えている。

アウトプットの機会とそこへの切迫感を自らでデザインし、必要なインプットを見定めることができる人を学ぶのが上手な人だなと感じている。

参考になるセッションに感じる特徴

pmconf 2024 のオンライン配信を視聴している。6時間の間に7つほどのセッションを観るので、良いセッションだと感じることもあれば、いまいちだったなと感じることもある。

しかしてその違いはどこからくるものだろうか?

簡単にまとめると以下のような整理をした。( ※ このセッション評価は極めて主観的で、一般化された基準に則ったものではない)

参考にならなかったセッション

  • 一般普及した情報だけで構成されている
  • 自分の関心事に関係がない内容

参考になったセッション

  • 自分の関心事に関する仮説を構造的 / fact basedにまとめてくれている

とても参考になったセッション

  • 自分の関心事に関する仮説を構造的 / fact basedにまとめてくれているだけでなく、新しい概念が上乗せされている

当たり前だが、自分の関心事に近い内容のセッションを選ぶことが大事。その上で、自分が考えたことのない概念や観点が上乗せされてると満足度が大きく高まる。

思考の一歩先をいく学びやノウハウが共有されていると良いものと感じているようだ。

人に何かを講演するときは、これを意識してテーマ選びをしようと思った。

語彙と思考はコインの裏表

年齢を重ねるに連れて、会議を回したり、人に説明するなどの機会が増えてくる。伴って自分の発する言葉に関心を向ける機会も増えた。

言葉はうまく使うと、頭の中にある情報に適切な形を与えてくれる。しかしこれがなかなか難しい。自分の考えが曖昧だと表現がまとまらず、語彙が少ないと冗長な言い回しになる。

語彙と思考はコインの裏表のようなもので、思考を整理するには語彙が必要だが、語彙が少ないと思考が整理できないという関係性がみえる。

親から聞かれた感想に「別に」や「ふつう」としか答えられなかった自分の幼少期を思い出す。当時は自分の考え表現できる言葉を知らず、知っていたとて表現に落とし込む挑戦をしなかったと猛省している。(なお初めてそれを頑張った記憶があるのは部活の部日誌である)

日頃から言葉を集めて、思考に当てはめる訓練を重ねることは大切なのだろう。

KonMariメソッドの舞台裏に見るNetflixの制作力

片付けコンサルタント近藤麻理恵氏(通称:こんまり)は2019年に米国で爆発的な人気を博し、一部のファンからはグル(師)とも仰がれる熱狂具合だ。

米国での成功の舞台裏に彼女の伴侶がいる。彼女の夫は川原卓巳氏。学生時代からの友人であり、結婚後の2013年からこんまり氏のビジネスサイドを支え、2019年に放映されたNetflix冠番組「Tidying Up with Marie Kondo」のProducerを務めた。

同氏の協業先選定にまつわるエピソードで、アメリカでの番組制作パートナーの決め手が語られており、そこから「KonMariメソッド」への深い洞察が感じられる。番組制作パートナーを務めたハリウッドで著名な女性クリエイターであるゲイル・バーマンは、KonMariメソッドを以下のように評したという。

こんまりの片付けは人類を次に進めるメソッドだ。現代人の生きる資本主義社会はモノに溢れ、豊かさに溺れ、その結果多くのひとの家は散らかってしまった。いたずらにモノを増やしても、人は幸せに生きられないと気付き始めている。モノを増やすことではなく手放すことで幸せに近づくこんまりの片付けは、人類の新しい成長の仕方だ。
Inside Vision #24 より筆者要約 (18分頃)

日本からレッドカーペットへ。世界を熱狂させた仕掛け人が見る景 - 起業家の思想と人生に迫る インサイドビジョン - Apple Podcasts

引用した思想的解釈を番組の土台に組み込んだのは、川原氏の手腕かNetflixの思惑かは定かではないが、この土台が米国での大ヒットに呼び込み、こんまり氏をグル(師)とまで言わしめたのだろう。

Netflixにはコンテンツ制作が巧みな印象を抱いているが、それは表現や演出だけでない。素材となるテーマ(例えば片付け)を社会課題の文脈の中に置き直し、現状へのアンチテーゼとも受け取れるコンテンツへ昇華する手腕がある。

素材を仕入れて時流に合わせた加工を施し、コンテンツを世に送り出す一連の営みには学ぶべきことが多い。


参考資料